LTV・CAC計算ツール付き解説|ユニットエコノミクスの計算式・目安・改善方法
「広告費をかけて顧客を増やしているのに、なぜか利益が残らない」
「LTVとCACという言葉は知っているが、自社の数字で計算したことがない」
売り上げ以外の事業の健全性を判断する指標に、 「1人の顧客から得られる利益(LTV)が、1人を獲得するコスト(CAC)を十分に上回っているか」
——いわゆるユニットエコノミクスがあります。
本記事では、入力するだけでLTV・CAC・LTV/CAC比率・回収期間が計算できるツール を使いながら、計算式の意味、健全性の目安、数値が悪いときの改善策まで一気に解説します。
本記事のターゲット
- サブスク・SaaS・EC・スクールなど、継続課金やリピート購入がある事業 のマーケター・経営者
- 広告投資の妥当性を 感覚ではなく数字で 判断できるようになりたい方
- 投資家・上司に事業の健全性を説明する材料が欲しい方
LTV/CAC計算ツール
まずは自社の数字を入れて計算してみてください。おおよその数字でも、現在地を知ることに意味があります。
数値を入力すると自動で計算されます。データは送信されず、ブラウザ内でのみ処理されます。
※データはブラウザ内でのみ処理され、外部には送信されません。
LTVとは:1人の顧客が生涯にもたらす「利益」
LTV(Life Time Value:顧客生涯価値) は、1人の顧客が取引期間全体で自社にもたらす利益の合計です。
計算式
サブスク・継続課金型の基本式は次の通りです。
LTV = 顧客単価(月額) × 粗利率 ÷ 月次解約率
「÷ 解約率」に違和感があるかもしれませんが、解約率の逆数=平均継続期間 です。月次解約率が3%なら、平均継続期間は 1 ÷ 0.03 ≒ 33ヶ月。
つまり上の式は「月あたり利益 × 平均継続月数」と同じ意味になります。
継続期間が読みやすい事業(契約期間が決まっている、購入サイクルが安定している等)なら、シンプルに次の式で構いません。
LTV = 顧客単価 × 粗利率 × 平均継続期間(または平均購入回数)
よくある間違い
- 売上ベースで計算してしまう:LTVは利益ベースが原則です。粗利率を掛けないと、CACとの比較が成り立ちません
- 全顧客の平均だけで見る:獲得チャネル別・プラン別に分けると、「儲かる顧客の入口」が見えます
CACとは:1人の顧客を獲得するのにかかった「総コスト」
CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト) は、新規顧客1人を獲得するためにかかったコストです。
計算式
CAC =(広告・販促費 + 営業・マーケ人件費 等)÷ 新規獲得顧客数
よくある間違い
- 広告費しか入れない:営業人件費・制作費・ツール費・代理店手数料まで含めるのが本来のCACです。広告費だけの数字は CPA(獲得単価)と呼んで区別します
- 既存顧客への費用を混ぜる:CACは新規獲得のコストです。既存顧客向けの施策費は分けて管理します
LTV/CAC比率の目安:「3倍」が基準線
LTVをCACで割った LTV/CAC比率 が、ユニットエコノミクスの健全性を測る中心指標です。
| LTV/CAC | 判定 | 状態 |
|---|---|---|
| 1倍未満 | 赤字構造 | 獲得するほど損失が拡大。投資の即時見直しが必要 |
| 1〜3倍 | 要改善 | 回収はできるが、間接費を賄うと利益が残りにくい |
| 3〜5倍 | 健全 | 一般に理想とされるレンジ。投資を続けてよい状態 |
| 5倍超 | 投資余地あり | 健全だが、獲得投資を抑えすぎて成長機会を逃している可能性 |
「3倍」が基準とされるのは、LTV(粗利ベース)から獲得コスト以外の間接費
——人件費・開発費・管理費を賄い、なお利益を残すためのマージンとして経験的に妥当だからです。
もうひとつの目安:CAC回収期間12ヶ月
比率とあわせて見るべきなのが CAC回収期間(CAC Payback Period) です。
CAC回収期間(月) = CAC ÷(顧客単価 × 粗利率)
LTV/CACが良好でも、回収に3年かかるなら、その間の資金は先に出ていきます。
12ヶ月以内 が一般的な目安で、資金調達力の乏しい事業ほど短く設定すべきです。
数値が悪いときの改善策:分子を上げるか、分母を下げるか
計算ツールの判定が「要改善」以下だった場合、打ち手はLTVを上げる(分子)か、CACを下げる(分母)かの2方向です。
LTVを上げる4つのレバー
| レバー | 具体策 |
|---|---|
| 解約率を下げる | オンボーディング改善、解約理由の分析と先回り対応、利用定着の仕組み化 |
| 顧客単価を上げる | 値上げ、上位プラン設計、アップセル・クロスセル導線 |
| 粗利率を上げる | 原価・提供コストの見直し、セルフサーブ化 |
| 購入頻度を上げる | 定期購入化、リマインド施策、ポイント・会員制度 |
多くの事業で最も効くのは 解約率の改善 です。
月次解約率が3%→2%になるだけで、LTVは1.5倍になります(1/0.03=33ヶ月 → 1/0.02=50ヶ月)。
CACを下げる4つのレバー
| レバー | 具体策 |
|---|---|
| チャネル別に選別する | チャネル別CACを計測し、悪いチャネルの予算を良いチャネルへ移す |
| CVRを上げる | LP・申込フォーム・オンボーディングの改善で、同じ広告費から多く獲得する |
| 紹介・オーガニックを増やす | 紹介制度、SEO・コンテンツ、口コミ——CACが構造的に低い獲得源を育てる |
| 営業効率を上げる | リード選別の精度向上、商談化率の改善、営業資料・デモの標準化 |
改善の順番
- チャネル別・プラン別にLTVとCACを分解する(全体平均は改善点を隠します)
- 最も歪んでいる箇所から直す(LTV/CACが1倍未満のチャネルを止めるだけで全体が改善することも)
- 解約率→CVR→単価 の順で検討する(値上げは効果が大きい反面、解約率に跳ねるため最後に)
計算ツールの使い方の例
例:月額5,000円のサブスクサービス
- 顧客単価:5,000円/月、粗利率:70%、月次解約率:3%
- 広告・販促費:100万円/月、営業・マーケ人件費:50万円/月、新規獲得:50人/月
この場合、LTV ≒ 11.7万円、CAC = 3万円、LTV/CAC ≒ 3.9倍、回収期間 ≒ 8.6ヶ月
——健全なレンジです。
ここから「もし解約率が5%に悪化したら?」「広告費を倍にして獲得が1.5倍だったら?」と ツールの数字を動かしてシミュレーション すると、自社の損益がどの変数に敏感なのかが体感できます。
会議の場でその場で数字を動かせるのも、計算ツールの使いどころです。
まとめ
- LTV = 顧客単価 × 粗利率 ÷ 解約率(利益ベースで計算する)
- CAC = 獲得関連コストの総額 ÷ 新規顧客数(広告費以外も含める)
- 健全性の目安は LTV/CAC 3倍以上・CAC回収期間12ヶ月以内
- 改善はチャネル別・プラン別の分解から。最も効くレバーは多くの場合 解約率
- 本記事の計算ツールで、数字を動かしながら自社の感度を確かめてください
よくある質問
サブスク型の基本式は「顧客単価(月額)× 粗利率 ÷ 月次解約率」です。解約率の逆数が平均継続期間になるため、「月あたり利益 × 平均継続月数」と同じ意味です。継続期間が読める事業なら「顧客単価 × 粗利率 × 平均継続期間」で計算します。売上ではなく利益ベースで計算するのが原則です。
広告費だけでなく、営業・マーケティングの人件費、制作費、ツール費、代理店手数料など新規獲得に関わる費用の総額を、新規獲得顧客数で割ります。広告費だけで計算した数値はCPA(獲得単価)と呼んで区別してください。既存顧客向け施策の費用は含めません。
3〜5倍が一般に理想とされるレンジです。1倍未満は獲得するほど損失が出る赤字構造、1〜3倍は間接費を賄うと利益が残りにくい要改善ゾーン。5倍を大きく超える場合は健全ですが、獲得投資を抑えすぎて成長機会を逃している可能性があります。
12ヶ月以内が一般的な目安です。「CAC ÷(顧客単価 × 粗利率)」で計算します。LTV/CAC比率が良くても回収に長期間かかると先に資金が出ていくため、資金調達力の乏しい事業ほど短く設定すべきです。
まずチャネル別・プラン別にLTVとCACを分解し、最も歪んでいる箇所から直します。レバーとして最も効くことが多いのは解約率の改善で、月次解約率3%→2%だけでLTVは1.5倍になります。その後CVR改善、単価向上(値上げは解約率に跳ねるため最後)の順で検討します。
いいえ。計算はすべてブラウザ内のJavaScriptで完結し、入力した数値が外部サーバーに送信・保存されることはありません。社外秘の数字でも安心して試算できます。

