Backlog APIで案件立ち上げを自動化|作業表・プロジェクト・WebDAV一括作成【実装例】

Backlog APIで案件立ち上げを自動化|作業表・プロジェクト・WebDAV一括作成【実装例】 データ分析

Backlog APIで作業表を一括登録する|プロジェクト作成・親子課題・WebDAVフォルダ自動化

「Backlog に課題を100件登録するの、毎回1時間以上かかる」

「CSV取込はあるが、締切日から作業表を作るところから自動化したい」

「プロジェクト作成・フォルダ構成・メンバー追加まで、案件開始のたびに手作業」

——Backlog をはじめ進捗管理ツールを現場で使っていると、こうした声をよく聞きます。

Backlog API を使えば、作業表の生成から 新規プロジェクト作成・親子課題の一括登録・共有フォルダの自動作成まで自動化できます。

ただし、世の中に 「締切逆算 → 編集 → Excel → Backlog 丸ごと立ち上げ」まで踏み込んだ公開事例は、驚くほど少ない

——それが本記事を書いた理由です。

私は複数社の伴走支援の中で、作業表作成 Web ツール(Flask + Backlog REST API + WebDAV)を実装しました。

締切日と案件パターン(法人/個人など)からタスクを逆算し、画面または Excel で編集したうえで、ガント付き Excel を出力し、確定内容を Backlog に一括登録できるようにしました。

開発者向けのコード例も交えつつ、現場リーダー・DX 担当・情シスのどなたにとっても価値ある内容を心がけましたので、皆さんの一助になれば幸いです。


本記事のターゲット

  • プロジェクト管理と Excel 文化のギャップに悩む方
  • Backlog 導入後、案件開始の立ち上げに時間がかかると感じる方
  • Backlog API 連携で効率的な業務フローを設計したい開発者・DX 担当

背景——なぜ Backlog 標準機能だけでは足りなかったか

Backlog は優秀ですが、初心者には操作が難しく、次の負担が現場に残ります。

  1. 課題の一括登録——1 件ずつ UI 入力は現実的でない
  2. プロジェクト開始の「型」——フォルダ階層・メンバー・WBS を毎回ゼロから作る手間
  3. 案件ごとの柔軟性——不要タスクの除外、日数変更、締切変更。登録前に何度でも修正が伴う

Backlog 側でも2025年5月から CSV から課題を取り込む機能[1]などが強化されています。今回作ったツールとの違いは次のとおりです。

観点Backlog 標準機能今回のツール
起点ユーザーが CSV を用意・整形CSV用意不要。締切日 + 案件パターン(タイプ A/B 等)から逆算
編集CSV を外部で編集して再取込Web 画面 または Excel 出力 → 修正 → 再読込が可能。Excelを開かず作業も可能
社外・社内の共有Backlog 内が中心ガント付き Excelの出力も可能。印刷して、認識合わせ・提案にも使える
プロジェクト立ち上げ作成と取込が別操作になりがちPRJ 連番 + 参加チーム + フォルダ + 親子課題を一括で自動実施
フォルダ構成手動または別途整備WebDAV で既定ツリーを自動作成
利用者取込 UI を理解している必要ボタン操作のみ

標準機能は「整った CSV を流し込む」用途に強いです。

一方で本ツールは 「締切から下書き → 現場で直す → Backlog と Excel の両方に反映」する業務フローで、人為的に行う必要がある作業もまとめて自動化したものであると言えます。


現場の人が実際にやること——5 ステップのストーリー

では実際に利用者(現場リーダーや事務担当)が本ツールを開いてから Backlog 運用に入るまでを説明していきます。

ステップ 1:案件パターンと締切日を入れて「タスクを計算」

Web 画面のセクション 1 で、案件パターン締切日を選び、「タスクを計算」を押します。

そうすると数十〜100 件程度のタスクが、開始日・終了日付きで一覧表示されます。

案件パターンの例(業種ごとにテンプレートを定義):

パターン想定する案件タスクの特徴(例)
タイプ A法人向け——書類・承認フローが多い見積・契約・社内確認・納品報告など、関係者が増える工程
タイプ B個人向け——手続きが少なく短期ヒアリング・施工・完了報告など、工程数が少なめ

同じ業種でも、法人案件はタイプ A、個人案件はタイプ Bのように切り替え、締切日からそれぞれの標準タスクを逆算します。

ステップ 2:不要なタスクを外し、日数・日付を直す

ステップ1の一覧で、使わないタスクのチェックを外し、必要日数・開始日・終了日・備考を案件に合わせて修正していきます。

「再計算」を押すと、有効なタスクだけで締切から日程を組み直せます。

利用者に合わせて、編集は 2 通り選べるようにしています。

  • 画面でその場修正——数件の調整向き
  • あとで Excel を直して再読込——表計算に慣れたメンバーがまとめて修正する場合

ステップ 3:ガント付き Excel を出力

「作業表を出力」を押すと、ガントチャート付きの作業表がダウンロードできます。

  • 社内——Backlog に慣れていないメンバーとの認識合わせ
  • 社外——先方との打合せ・提案資料として、納期と作業ブロックを見せる

Backlog 登録前の確認用資料としても、登録後の共有資料としても使えます。

ステップ 4:Excel で直した場合は再読込(任意)

Excel 側で細かく修正したときは、ファイルを選び「インポート」も可能。

画面の作業表が Excel の内容で上書き更新されます。アプリ内で直した内容と、Excel から戻した内容は、どちらも同じデータとして扱われます。

ステップ 5:Backlog に「新規プロジェクト作成」

内容が確定したら、「表示中のタスクで新規プロジェクト作成」を押します。

  • プロジェクト名・PRJ 連番キー(例: PRJ201)は自動入力(手修正も可)
  • 進捗バーが表示され、完了まで待つ(課題が多いと数分)
  • 完了後、Backlog 上に 新規プロジェクト・親子課題・参加チーム・共有フォルダ が整った状態で始められる

ここまでが利用者視点の体験です。ここまでで利用者が得られるものは以下になります。

利用者が得られるもの一覧

成果物内容
作業表 Excelガントチャート + 作業一覧シート
Backlog プロジェクトPRJ 連番キー、参加チームに権限付与
Backlog 課題大項目=親課題、中項目=子課題、開始・終了日付き
共有フォルダ依頼資料・見積・申請書類・完成図書など、既定の階層を自動作成

特に現場伴走していると「PRJ連番キーを重複なく発行するのが面倒」「共有フォルダの構成や権限管理の設定をするのが都度面倒」という思いがあり全て自動化しています。

以降は、費用感・業務フロー・技術的な設計について解説していきます。


月額の費用目安

本ツールは Backlog(既存契約)+ Web ホスティング(Heroku) の上に載せる構成です。

開発・初期構築費は別として、ランニングコストの目安は次のとおりです(2026 年時点、為替・プランにより変動)。

パターン 1:Backlog はすでに契約済み(ツール追加のみ)

項目プラン例月額目安
Web ホスティング(Heroku Eco)社内ポータル用 dyno 1 台、低頻度利用約 750〜800 円($5/月)
Web ホスティング(Heroku Basic)常時起動・長時間インポートを安定させたい約 1,000〜1,200 円(上限 $7/月)
DB(任意)ジョブ状態の永続化(Heroku Postgres Essential 等)+ 約 750〜1,000 円($5/月前後)

ツール追加だけなら、月額おおよそ 750〜2,000 円が目安です。Backlog API 呼び出し自体に従量課金はかかりません(契約プラン内)。

パターン 2:Backlog から新規に揃える場合

項目プラン例月額目安(税込)
Backlog スターター30 ユーザー・5 プロジェクト・API 利用可約 2,970 円
Backlog スタンダード100 プロジェクト・30GB・ガント等約 17,600 円
Web ホスティング上記 Eco または Basic750〜2,000 円

小規模(スターター + Eco)で月 3,700〜4,000 円前後本格運用(スタンダード + Basic)で月 18,000〜20,000 円前後が目安です。ファイル共有・WebDAV フォルダ自動作成を本気で使うなら、スタンダード以上をお勧めします。

※ 上記は2026年6月時点の情報です。新規契約・更新タイミングでは 公式料金ページ を確認してください。

費用対効果の考え方

1 案件あたり 30 分〜1 時間の立ち上げ工数が削れると、月 5〜10 案件で人件費換算 1〜3 万円相当の削減にもなり得ますし、そして何より従業員が心地よくストレスなく働ける点がメリットと言えるでしょう。

ホスティング月数千円とのバランスは、案件頻度が増えるほど有利になります。


設計の要点(開発者向け)

全体アーキテクチャ

[ブラウザ]
  │ POST /api/calculate      … 締切日からタスク逆算
  │ POST /api/recalculate    … 編集後の再逆算
  │ POST /api/export         … 編集結果 → Excel 生成
  │ POST /api/import         … Excel → 作業表更新
  │ POST /api/backlog-import … 非同期ジョブ開始
  │ GET  /api/backlog-import-status/{job_id}
  ▼
[Flask (Python)] → Backlog REST API + WebDAV
  1. 逆算 → 編集 → Excel / Backlog が 1 本の作業表でつながる
  2. フォルダは REST では作れない → WebDAV
  3. 課題数が多いと HTTP タイムアウト → 非同期ジョブ + ポーリング

API キーはサーバーに閉じる

def _backlog_api_config():
    api_key = os.getenv("BACKLOG_API_KEY")
    base_url = os.getenv("BACKLOG_BASE_URL", "https://your-space.backlog.com").rstrip("/")
    return api_key, base_url, None

PRJ 連番——プロジェクトキーの自動発行

def _backlog_next_project_key(api_key, base_url, prefix="PRJ"):
    start = _backlog_max_project_number(api_key, base_url, prefix) + 1
    for n in range(start, start + 100):
        key = f"{prefix}{n}"
        if not _backlog_project_exists(key, api_key, base_url):
            return key, None
    return None, "PRJ連番のプロジェクトキーを発行できませんでした"

参加チームを API で追加する理由

ユーザー単位の追加も可能ですが、組織全体で同じメンバーが動く案件では、Backlog 上の「全員」チームを プロジェクト作成時に一括追加する方が効率的です。

追加しないと、作成者以外が課題を編集しづらい

——という制約もあります。

親子課題——大項目は 1 親、中項目は子

作業表Backlog
レベル1(大項目)親課題
タスク名(中項目)子課題(parentIssueId
開始日・終了日startDate / dueDate

parent_cache で同一大項目の親課題を重複作成しないのが実装の要です。

WebDAV——共有フォルダの自動作成

REST API にフォルダ作成はありません。WebDAV の MKCOL で多階層フォルダを作成。ネストパスは slash ごと %2F エンコード浅い階層から順に作成が必要です。

非同期ジョブ——Heroku 30 秒制限の回避

job_id を即返却し、バックグラウンドで課題登録。フロントは 2 秒間隔でポーリングし、sessionStorage で再読込時も進捗を復元します。


環境変数一覧

変数名用途
BACKLOG_API_KEYREST API 認証(必須)
BACKLOG_BASE_URL例: https://your-space.backlog.com
BACKLOG_DEFAULT_PROJECT_TEAM_NAME新規プロジェクトに追加する参加チーム名
BACKLOG_WEBDAV_SPECIAL_PASSWORDファイル共有用パスワード(2FA 時)
BACKLOG_WEBDAV_USER_IDWebDAV ユーザー名(必要時)

まとめ

利用者から見れば、流れはシンプルです。

締切と案件パターンを選ぶ → 作業表を直す → Excel で共有 → Backlog に一括登録。その裏側で、締切逆算 API・Excel 往復・PRJ 連番・WebDAV・非同期ジョブが動いています。

Backlog 本体の CSV 取込が充実しても、「締切から下書きを作り、現場で直してから、プロジェクト・フォルダ・親子課題まで一括で整える」ニーズは残ります。

標準機能は整ったデータの「流入」に強く、本ツールは 逆算・編集・立ち上げ一式を担う

——この役割分担を意識すると、自前開発するかどうかの判断もしやすくなります。

本記事を通じて特に押さえておきたい点は次のとおりです。

  • 編集経路は 2 本——画面でのその場修正と、Excel 出力 → 修正 → 再読込。現場の柔軟性を確保する
  • REST API と WebDAV は役割分担——課題・プロジェクトは API、共有フォルダは WebDAV
  • 参加チームの一括追加——組織単位で動く案件では、ユーザー個別より効率的
  • 非同期ジョブでタイムアウト回避——課題数が多い案件でも、進捗表示付きで登録を完走できる
  • 費用対効果——ホスティングは月 750〜2,000 円程度。案件が増えるほど、立ち上げ 30 分〜1 時間の削減効果が効いてくる

案件立ち上げの時間とミスを減らしたい、Backlog API の実装例を探している

——そんな方の参考になれば幸いです。

よくある質問

Q1: Backlog 標準の CSV 取込と何が違いますか? ▶︎

Backlog 標準機能は、整った CSV を課題として取り込む用途に強いです。本ツールは締切日と案件パターンから作業表を逆算し、Web 画面または Excel で編集したうえで、新規プロジェクト作成・PRJ 連番・参加チーム・WebDAV フォルダ・親子課題まで一括で立ち上げます。ガント付き Excel で社内・先方との認識合わせもできる点が異なります。

Q2: 画面で編集するのと Excel で編集するのはどう使い分けますか? ▶︎

どちらも同じ作業表を更新します。軽い調整(タスクの ON/OFF、日数変更)は画面が向いています。表計算に慣れたメンバーがまとめて直す、出力した Excel をそのまま社内資料に使う、といった場合は Excel 出力 → 修正 → 再読込が向いています。最終的に Backlog に登録される内容は、どちらの経路でも一致します。

Q3: 利用者ごとに Backlog API キーを配布する必要はありますか? ▶︎

通常は不要です。API キーはサーバー側の環境変数に置き、Web ツールが代理で Backlog に登録します。利用者は 本アプリへのログイン権限があれば、画面上のボタン操作だけで済みます。

Q4: 課題登録中にブラウザを閉じたらどうなりますか? ▶︎

登録処理はサーバー側のバックグラウンドジョブで継続します。ページを再読み込みすると進捗表示を復元できる場合があります。表示されないときは Backlog 側でプロジェクト・課題が作成済みか確認してください。

Q5: プロジェクトはできたが共有フォルダがありません ▶︎

フォルダ作成は REST API ではなく WebDAV 経由です。BACKLOG_WEBDAV_SPECIAL_PASSWORD 等の環境変数を確認してください。課題登録自体は成功していることが多く、フォルダだけ手動作成または設定修正後に対応できます。

Q6: 月額費用はどれくらいかかりますか? ▶︎

Backlog を既に契約している場合、Web ホスティング(Heroku Eco 等)だけなら月 750〜2,000 円程度が目安です。Backlog から新規に揃える場合は、スターター(約 2,970 円/月)+ ホスティングで月 3,700〜4,000 円前後、スタンダード(約 17,600 円/月)+ ホスティングで月 18,000〜19,000 円前後が目安です。2027 年の Backlog プラン改定に注意してください。

Q7: タイプ A・B(法人・個人)のテンプレートはカスタマイズできますか? ▶︎

可能です。Python の WORKFLOW_TASK_TEMPLATES 辞書に、大項目・中項目・必要日数・着手条件などを定義します。タイプ A=法人向け(承認・書類が多い)、タイプ B=個人向け(短期・工程少なめ)のように、業種や案件種別に応じたパターンを増やせます。Excel の内部タスク管理用シート形式との入出力も維持できます。

参考文献

[1] Backlogブログ https://backlog.com/ja/blog/backlog-update-batch-import-csv/

[2] Backlog料金プラン https://backlog.com/ja/pricing/

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