MarpとCursorで実現!生成AI×スライド自動生成の完全ガイド

MarpとCursorで実現!生成AI×スライド自動生成の完全ガイド マーケティング

コンサルタントとして多数の企業プロジェクトに携わる中で、最も時間を取られる作業の一つが「クライアント向け資料作成」です。

コンサルティングワークにおける資料作成は、お客様含め「参加者のバイアスやブレを補正し、プロジェクトを前進させる」上で非常に重要な作業の一つです。一方で、複数のプロジェクトを並行して抱えている場合、その資料作成で日々多忙を極めてしまい、付加価値創出業務に集中できなくなる恐れがあります。

そこで今回は生成AIを活用して、クライアント向けの品質を保ちつつ、資料作成をほぼ自動化する方法についてお伝えします。

本記事のターゲット

  • 複数のプロジェクトマネジメントを実施している方
  • クライアント向け資料を作成する方
  • 日々の定例資料を作成する担当の方

資料作成フローとAIの活用ポイント

通常資料を作成する場合、以下のようなステップが存在します。

  1. 会議の目的・ゴールの設定:会議の目的を明確に言語化する
  2. 会議のアジェンダ設定:会議の目的が達成できるストーリーラインに沿った目次項目を設定。前回振り返りは「前回の振り返り」の項目に組み込む
  3. 前回の振り返りスライドの作成:前回議事録の決定事項とTODOをわかりやすく整理
  4. 各アジェンダスライドの設計:各スライドについて、1メッセージとそれを補完する図表の差し込みをラフイメージで作成
  5. 各アジェンダスライドの作成:各スライドの設計に基づいて、資料要素を作成
  6. エグゼクティブサマリの作成:本会議で扱った内容要約を1枚のスライドにまとめる

今回これらの資料作成フローを、生成AI(Cursor)+Marpの活用により自動化していきます。

使用するツールの費用

今回使用するツールは、MarpとCursorです。Marpについては無料、Cursorは月額サブスクリプションサービスであり、3,000円/月程度で利用可能です。

ツール名用途費用
MarpMarkdown記述形式のスライド作成支援無料
Cursorコーディング支援20ドル/月

それでは、実際にスライド資料を作成してみましょう!

具体的な実装手順

初回のみセットアップが必要で、以降はCursorにプロンプトを投げるだけで、基本的にスライド作成が自動作成できる流れになります。特にクライアント向け資料のマスタスライドをMarkdown形式に変換する作業に少し時間を要しますが、時間に余裕を持って取り組んでください

  • Step1. セットアップ:60分
    • Cursorにプラグインインストール
    • マスタスライドMarkdownの作成
  • Step2. Cursorにスライド作成指示プロンプト送信:15分

Step1:セットアップ

Cursorにプラグインインストール

まず、CursorにMarpプレビュー用の拡張プラグインをインストールします。

Extentions画面
拡張機能:Marp for VS Code
インストール後、Markdownファイルでスライドプレビューが可能

Markdown記載用のファイル(ex. master_slide.md)を新規作成し、以下のコードを貼り付けてください。

master_slide.md:

---
marp: true
paginate: true
---

<!-- 共通スタイル定義 -->
<style>

/* 全体フォント設定 */
section {
font-family: "Meiryo UI", sans-serif;
}
</style>

こちらのファイルをCursorで開き、右上にある「Open Preview to the size」をクリックすると、markdownをチャット編集しながら、中央でそのプレビューが確認できるようになります。

マスタスライドMarkdownの作成

これから実際にビジネスで使用しているスライドマスタの要素をMarkdownに変換していきます。

以下にサンプルのスライドマスタを用意してみました。各スライドの要素(ex. 右上のクライアント企業ロゴ差し込み)について、サイズと位置をPowerPoint上で確認し、プロンプトに落としていきます。

プロンプト例:

最初の表紙スライドを作成し、以下の仕様でロゴ画像を差し込むようにしてください

高さ:1.83 cm
幅:5.13 cm
横位置:27.64 cm
縦位置:0.44 cm

また、#3D7B58 の色でフル幅ラインを追加してください
高さ:0 cm
幅:33.87 cm
横位置:0 cm
縦位置:2.63 cm

Step2:Cursorにスライド作成指示プロンプト送信

以下のようなスライド作成指示プロンプトのテンプレートを作成していきます。

次回以降は議事録内容や依頼事項を適宜変更することで、前提・背景を汲み取りスライド作成が可能になります。

【役割】
あなたは経験豊富な戦略コンサルタントです。

【タスク】
以下の議事録を基に、クライアント向け定例報告資料をMarp Markdown形式で作成してください。

【議事録】
[ここに議事録ファイルを貼り付け]

【作業要件】
1. 会議の目的・ゴールの設定:会議の目的を明確に言語化する
2. 会議のアジェンダ設定:会議の目的が達成できるストーリーラインに沿った目次項目を設定。前回振り返りは「前回の振り返り」の項目に組み込む
3. 前回の振り返りスライドの作成:前回議事録の決定事項とTODOをわかりやすく整理
4. 各アジェンダスライドの設計:各スライドについて、ワンメッセージとそれを補完する図表の差し込みをラフイメージで作成
5. 各アジェンダスライドの作成:各スライドの設計に基づいて、資料要素を作成
6. エグゼクティブサマリの作成:本会議で扱った内容要約を1枚のスライドにまとめる

【ルール】
- ビジネスユースのため、文章中にアイコンなどは差し込まないでください
- P.3以降は、メッセージラインを必ず入れ、ワンメッセージでまとめてください
- スライド枠外に要素がはみ出ないようにしてください

【フォーマット】
上記のMarpテンプレート(master_slide.md)に従って作成

【出力】
別ファイル名で新規で作成してください

例えば、前回議事録ファイルを以下として読み込んで上記のプロンプトを実行してみましょう

前回議事録.md:

# 背景・課題:

長年の技術と実績を持つ企業として新たな成長を目指している
企業イメージ向上と情報発信強化のためホームページリニューアルを計画
社内にWebサイト制作の専門知識を持つ人材が不足
インタビュー記事や商工会議所撮影動画などの素材は保有しているが、効果的な活用方法が明確でない

# 求める支援内容(ディレクション業務全般):

## 企画・コンセプト策定
事業内容、強み、展望のヒアリング
ホームページのコンセプトと構成提案

## コンテンツ企画・情報設計
既存素材の分析と活用方法の検討
ユーザー価値の高いコンテンツ企画
サイトマップ作成支援

## 仕様書作成サポート
目的・ターゲットユーザーの明確化
デザインや機能要件の定義
制作会社への発注用仕様書作成

## 制作会社選定・管理支援
制作会社選定のアドバイス
制作会社との円滑なコミュニケーション支援


# 重要な時期的要素:
2025年9月頃に策定予定のミッション・ビジョン・バリューをホームページに適切に反映させる必要がある

実行すると、以下のMarkdown形式のスライドが生成されました。PDFで出力した結果が以下になります。

品質向上のための成功ポイント

  1. スライド作成指示プロンプトのテンプレートの標準化:一度作成したフォーマットを使い回すことで効率化
  2. プロンプトの改善:使用しながら継続的にプロンプトを最適化
  3. AI任せにしすぎない:最終確認は必ず人間が行い、クライアント目線での調整を実施

まとめ

生成AIを活用することで、従来2-3時間かかっていた資料作成を1時間以内に短縮できました。単純に時間短縮されるだけでなく、本来注力すべき戦略立案やクライアント価値創出により多くの時間を割けるようになったことが最大の成果です。

この手法は汎用性が高く、コンサルティング業務以外の定例報告や企画資料作成にも応用可能です。ぜひ皆さんの業務でも試してみてください。

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