20・30代から始める!転職活動で気をつける3つのポイント

キャリアアップ

2024年の転職動向調査[1]によると、正社員転職率は2020年から向上、2023年は昨年の過去最高水準を維持しています(2022年:7.6%、2023年7.5%) 。「給与水準」「仕事内容」「職場の人間関係」に関する不満から転職活動を開始し、「給与が良い」「生活にゆとりができる」転職先に入社を決めるケースが多いと言われます。

本記事では、「価値観の合う企業に、給与アップして入社する」ためのポイントを、実体験を踏まえてまとめていきます

本記事のターゲット

20・30代で転職が頭によぎった方

サマリー

転職活動の流れ

転職活動にはそれなりの時間と労力が必要になります。労力をかける上で優先的に時間を割くべきことと割かぬべきことを明確に設定し、満足のいく転職活動を進める必要があります。

リン
リン

転職活動は、現職業務と並行して行う必要がある点、効率的に労力を配分する必要があるね

労力を割かぬべき「同質化しやすい作業」

労力を割かぬべきことは、「労力に見合わず転職希望者の誰が行っても同質になりやすい作業」です。同質になりやすい作業はプロやテンプレ化によって効率的を目指しましょう。主に以下の2点です

  • 転職エージェントの採用
  • エントリーシートのテンプレ化

転職エージェントの採用

最近では転職サイトに希望要件を入力すると、転職希望者に直接求人が通知されるサービスも存在します。一方で、「転職」が軽くよぎったタイミングでは転職希望者自身も希望要件が絞りきれないことも多いでしょう。希望要件を整理し円滑に転職活動を進めるためにも、まずは転職サイトに登録し、転職エージェントを採用することを強く推奨します。推奨する理由は主に3つあります

  1. 無料で確度の高い募集求人(非公開も含む)が手元に集まる
    • 転職エージェントは、求職者が入社すると求人企業より成功報酬を受け取るケースが多いです。つまり転職希望者は基本的に無料で転職エージェントを活用することができます。エージェントは、転職希望者へのヒアリングを通じて多数の候補から筋の良さそうな企業を選出してくれるだけでなく、一般募集をかけていない非公開案件を紹介いただける場合もあります
  2. 自分を必要としている企業(自分の市場価値)がわかる
    • 転職エージェントは、数多くの企業担当者と会話しながら日々案件の精査を行なっています。特に業界特化型の転職エージェントですと、業界として必要とされているスキルレベルから各企業のスキルレベルまで把握しているケースが多く、自分のスキルレベルを鑑みた提案をいただける場合もあります。
  3. 身につけるべきスキルが事前に把握できる
    • 募集要件に「TOEIC xxx点以上」「日商簿記 x級以上」などを目にし諦めたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。ゆとりを持って転職活動を開始していれば、入社志望度の高い業界・企業の要件に合うスキル獲得の時間確保も可能になります

上記3つが無料で利用可能であることは、転職活動を効率的に進める上で非常に重要です。転職を思い立ったタイミングで、転職エージェントにぜひ相談してみてください

  • 最近は業界特化型の転職エージェントも多いため、業界が絞り込めていない段階であれば、複数の転職エージェントを業界別に採用することをお勧めします
  • 稀に高額な教材を転職希望者に対して販売してくるなど金銭要求されるケースがあります。無料の転職エージェントでも充分対応いただけるため、金銭要求するエージェントは無視しましょう

エントリーシートのテンプレ化

エントリーシートの項目には「経歴」「自身の強み」などがありますが、可変項目が「志望動機」です。一方、筆者も複数のエントリーシートに目を通した経験がありますが「志望動機」で適性を見抜くのは非常に困難であり、極端に悪いケースを除く足切りとして利用することが多いです。足切りを受けるのは「構造的に端的に(3点で)表現されていない」ものです。志望動機は以下のテンプレート(ex. 3C)を活用し、「共感したこと」と「提供できること」をしっかりまとめることを推奨します

#項目概要記載例
客観的な企業の強みへの共感報道や企業研究を通じて得た志望企業の強みを言語化したもの貴社は、同業界の企業Aに対して利益率が非常に高い上、報道による発信も多いことからブランド力の高さに魅力を感じております。また将来投資として他事業ドメインへの投資を欠かさない姿勢にも大変共感しております。
ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)への共感志望企業自身が自社サイト等で掲げるMVVについて、自分の体験を踏まえて共感したもの貴社の掲げるバリュー「顧客第一」に大変共感しております。データはお客様の声を定量的に把握する1材料になると考えます。データを通じて顧客体験向上に寄与していきたいです。
求人要件に対する自身のスキル提供求人要件に基づき、自信を持って提供できるスキルの幅をまとめたものx年間の事業現場でデータドリブン経営、y年間でのコンサルティング業務としてDX戦略策定に携わりました。そのため上流の戦略策定から現場のプロダクトグロースに至るまで幅広く貴社へスキルを還元できます。
イータ
イータ

テンプレートを各企業別に部分修正すれば、志望企業に対する思いをMECEに伝えることができるね

労力を割くべき「差別化できる作業」

労力を割くべき作業は、「労力をかけるほど他の転職希望者と差別化できる作業」です。それは「転職希望者と志望企業間での価値観(本音)の擦り合わせ」になります。擦り合わせを行わないことによる失敗は以下のような例です。

転職希望者Xさん
転職希望者Xさん

本音:幼少期に父親から強い愛情を注がれてきた人生であった。その父親の背中を追い、自らも仕事をしながら息子に対して日々愛情を絶対注ぎ続けていきたい

志望企業Y
志望企業Y

本音:うちの企業は規模の大きい案件に携われ待遇面も優れているが、出張・転勤が多い

上記の場合、転職希望者Xさんは志望企業Yに入社しても自分の本音を実現することができず、ひいては退職を生んでしまいます。つまり以下3点で本音を把握し、すり合わせる必要があります

  • 自己認識(自分の本音)
  • カジュアル面談の設定(現場の本音)
  • 逆質問の用意(経営者の本音)

上記で自分の本音と企業の本音を認識し、「自分の本音に適うのか、適わない要件を建前で乗り越えられるのか」が明確になります。

自己認識(自分の本音)

「仕事内容」「職場の人間関係」に関する不満から転職活動を開始するも、入社後に同様の不満が発生し、やむなく退職する方も多いそうです。しかし、その問題が自分起因であるケースも少なくありません。自らの人生を振り返り、譲れない価値観(本音)をしっかりと認識するための2つのツールをご紹介します。

ライフラインチャート

自分の人生を振り返る上で重宝するツールが「ライフラインチャート」です。横軸を年齢、縦軸を幸福度とし、ライフイベントを時系列チャート状に記載していきます。「過去にどのような基準で選択し、幸福を感じてきたのか」「今後どのような選択をしていきたいか」をまとめることで、自分の本音に向き合うことができます

16 Personalities

主観的アプローチのみであると自己認識に偏りが生まれるため、客観的に自己認識する上でも性格診断ツールの併用をお勧めします。無料で利用できる性格診断ツールである「16 Personalities」が有名であり、筆者もよく利用します

リン
リン

自分の本音がまとまったタイミングで身近な家族や友人にもしっかり相談しよう

カジュアル面談の設定(現場の本音)

転職希望者自身の本音だけでなく、志望企業側の本音を聞き出す作業も重要です。特に経営者・採用担当者と現場担当者間で本音に乖離が発生している場合があります。面接前後で必ず配属予定の現場担当者とカジュアルに会話する機会を、転職エージェント等を通じて設けるようにしましょう

逆質問の用意(経営者の本音)

最後に経営層の本音の把握になります。経営層向けにカジュアルな面談機会を設けることは非常に困難であるため、面接の逆質問の場を有効活用しましょう。質問の内容も、企業として目指す方向性と短中長期の課題感を整理することに徹しましょう。

「自己認識」「カジュアル面談」「逆質問」を通じて、3者の本音が擦りあっているのかを入念にチェックすることに時間を確保しましょう

内定後にやること「待遇交渉」

志望企業側から内定直後に提示される待遇条件をそのまま受け入れる方も多いかと思いますが、非常に勿体ないです。内定を貰ったということは、これまで「転職希望者が入りたい(企業に主導権がある)状態」から「企業が入ってほしい(希望者に主導権がある)状態」に変わったのです。また採用担当者には以下のような採用失敗に伴うリスクも同時に生じます

  • 採用にかけた稼働コスト(約100万円)の損失
  • 採用目標数未達

待遇改善(市場価値の向上)を目指して転職活動を行ってきた一方で、提示される最低待遇を飲むのは合理的ではありません。是非主導権を握った上で、以下の情報を集め「オークション方式」で待遇交渉を進めましょう

  • 他社の待遇条件
  • 現職企業の待遇条件
リン
リン

私もオークション方式で待遇交渉を2回ほど行い、内定後に150万円/年ほど上げることに成功しました

他社の待遇条件

「提示された待遇条件が低い」と結論づける上で「同等もしくは高い待遇条件」を複数持っていることは有効に働きます。業界トップ企業を志望している場合は、コンサル業界など待遇水準の高い業界での内定を貰うことで担保しましょう。最終的にオークション方式を採れるよう転職活動は幅広く行うよう心がけましょう

現職企業の待遇条件

現職企業に残った場合に次年度見込まれる待遇条件も有効に働くことがあります。内定後に源泉徴収票が回収されるため、現待遇条件について虚偽を行うことは避けましょう。現職の不満点が「給与の低さ」のみである場合、内定した待遇条件をもとに現職企業へ待遇交渉を試みても良いかもしれません。いずれにしても、現職企業とは円満な関係を築いておくことが重要です。筆者も本件のみならず、転職後の情報交換のパートナーとして今もなお円満な関係を築いています。

最後に

転職活動は「同質化しやすい作業は、プロやテンプレで効率化する」「価値観を合致させることに時間を割き、差別化する」を徹底することで、効率的に質の高い内定を得ることができます。また内定後も他の待遇条件を横並びにし、待遇条件をオークション方式で交渉することが重要です。

皆様が価値観の合う企業に、給与アップして入社できることを心から祈っております

参考文献

[1] 転職動向調査2024年版. (2024). 株式会社マイナビ. 参照元URL: https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2024/03/tenshokudoukoutyousa2024.pdf

[2] 受かる!自己分析シート.(2008). 田口久人

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